フィンテックとは (3)

そして、もう1つの新たなチャンネルがSNSです。フェイスブックの月間アクティブユーザーは2015年末で15億人に達したといわれています。またメッセンジャーサービスも急速にユーザーを増やしています。日本ではLINEが有名ですが、海外ではワッツアップ、中国ではウィーチャットなどのメッセンジャーサービスも数億人のユーザーが利用しています。これらのSNS上で金融サービスを提供するわけではありません。このチャンネルは顧客からの問い合わせや情報提供といった、顧客との日常的な関係強化のためのチャンネルとして利用されていくでしょう。金融機関は顧客からの問い合わせが非常に多い業種の1つです。扱ってるサービスの種類が多く、また事務手続きが複雑なのが最大の原因なのでしょうが、パンフレットやネットに掲載されている説明がわかりにくいというのも事実でしょう。こういったサービスに関する問い合わせや質問に回答できるようなチャットボットと呼ばれる新たな技術の活用が始まっています。

そしてこれらの新しいチャンネルであるモバイル、SNSと、既存の店舗、インターネット、電話も含めたあらゆるチャンネルをつなぎ合わせた「オムにチャンネル」化が求められます。「オムにチャンネル」の「オムニ」とはラテン語で「すべて」を意味する言葉です。オムニチャンネルはただ単に複数のチャンネルをつなげるだけではありません。あるチャンネルから別のチャンネルに切り替えたときもシームレスにサービスがつながっていることが必要です。これは裏返せば、すべてのチャンネルで得た顧客の行動データも統合してマーケティングに活かすことが求めらえます。この領域でのフィンテックは主に金融機関がその革新を担う領域でもあります。またいままでの金融領域でのIT活用が目的としていた「金融サービスの効率化・高度化」と同様の目的を目指すものであるためこのような領域のフィンテックを「フィンテック1.0」と呼ぶことにします。

フィンテック2.0 金融ビジネスの「ディスラプター(破壊者)」たちの台頭

金融の分解

フィンテックの議論でよく目にする絵があります。これはアメリカのウェルス・ファーゴ銀行のウェブサイトのトップページを背景に、ウェルス・ファーゴが提供しているさまざまな金融サービスと同様のサービスを提供しているフィンテック企業のロゴを当てはめたものです。これを見てわかるように、いまや銀行の提供するあらゆる金融サービスがすでに何らかのフィンテック企業によって提供されているといっていい状況が訪れています。このようにフィンテックは、新たなテクノロジーを活用してそれまで一体として提供されていた金融機能を分解していきます。この分解を「アンバンドリング」と呼びます。このアンバンドリングを実際のサービスで考えてみましょう。例えば住宅ローンでは、ある人にお金をいくらまで貸せるのかの返済能力を審査し(「与信」と呼ばれるプロセスです)、契約書を作って担保を登記し、実際に口座にお金を振り込み、月々のローンを回収し、もし返済に問題があればローンを回収するという一連のプロセスに分けられます。このプロセスの中で「ある人の返済能力」を検討するのにビッグデータを活用して高い精度で予測できる企業が出てきたとします。この企業の与信結果が銀行よりも正確であればお金を借りたい人はこの企業に与信を任せるほうが合理的です。さらに信頼性の高い与信結果が公開されたとしたら、銀行ではなく個人でその人にお金を貸してもいいという人が現れるかもしれません。これを実際に行っているのがP2Pレンディングと呼ばれるサービスです。

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