腸を整える短鎖脂肪酸 (3)

短鎖脂肪酸が多ければ、炎症やアレルギーもなくなる。

さて、今回は体のあちこちで発生している炎症についてみていきます。「腸もれ」によって毒素や病原菌、グルテン(小麦粉に含まれる成分)などが血液中に侵入すると、免疫システムが作動して、体のあちこちで「白血球VS侵入者」の戦闘が繰り広げられます。その戦闘があちこちで「炎症」を引き起こして、心身に不調や病気を招きだすのです。この「炎症」を抑えるのにわれらがスーパーヒーロー短鎖脂肪酸は、一役買っているわけです。

そのことについて、白血球の面から見ていきます。侵入者とバトルを繰り広げ、炎症を引き起こす白血球にはたいへん様々な種類があります。その中に「T細胞」という白血球(リンパ球)があります。T細胞は生まれたての未熟な段階ではどれも同じなのですが、成長するうちにいくつものタイプに分かれていきます。大まかに分けると次の3タイプです。
●キラーT細胞・・・その名の通り、体内に侵入した毒素や病原菌を殺すT細胞。攻撃的な役割を受け持つ。

●ヘルパーT細胞・・・キラーT細胞などに攻撃の指令を出す。司令塔の役割をする細胞。

●制御性T細胞(Tレグ)・・・攻撃を抑制するT細胞。攻撃を仕掛けるキラーT細胞をなだめる役割を担っている。

ここで重要なのは、これらT細胞の割合。じつは、侵入者とのバトルが激戦になるかどうか、体の炎症がひどくなるかどうかは、これらT細胞のうちの「キラーT細胞」と「制御性T細胞(Tレグ)」の割合にかかっている。ごくわかりやすく言えば、攻撃役のキラーT細胞ばかりが多くてなだめ役のTレグが少ないと、バトルが激戦になって体の炎症やアレルギーがひどくなりがちになります。キラーT細胞はたくさん集まると暴徒化しやすく、すぐに喧嘩をふっかけては炎症を起こしてしまう傾向があります。一方、Tレグが多いとキラーT細胞の活動が激化することもなく、炎症やアレルギーを起こさないようになるのです。そして、腸や血液中に短鎖脂肪酸が多いと、この制御性T細胞(Tレグ)がたくさんつくられるようになることが分かっているのです。未熟なT細胞がいろんなタイプへと分化していく際、短鎖脂肪酸の一種「酪酸」が多いと、制御性T細胞(Tレグ)へと成長する細胞がとても多くなることが確かめられているのです。
なので、「腸もれ」によって毒素や病原菌、グルテンなどが体内に侵入したとしても、食物繊維をたくさん摂って短鎖脂肪酸が多い状況をキープしていれば、体内に制御性T細胞(Tレグ)が増え、炎症やアレルギーを起こさずに済む可能性が高まるのです。

ちなみに、アメリカには、文明を避けて中世の頃と同じような暮らし方をしているアーミッシュと呼ばれる人たちがいて、彼らにはアレルギーの人がほとんどいないことが知られています。なぜ、アレルギーの人がいないのか。不思議に思った研究者が彼らの血液を調べたところ、制御性T細胞(Tレグ)が通常より35パーセントも多いことが分かっています。若い時から、野菜を多く食べ、たくさんの食物繊維を摂り、丈夫な腸内フローラをつくって、たくさんの短鎖脂肪酸をつくっているのです。

スポンサーリンク

フォローする